マザーズサポーター協会の活動についてご案内
児童・生徒へのかかわりで、コロナ禍の昨今、特に必要になっているのは、精神的に苦しい場面からどう立ち直るのかという心の力、「レジリエンス力」です。
最近、教育現場の先生からよくお聞きするのは、子どもたちの様子で、すぐにあきらめる、根気がない、感情の起伏が激しいように感じるなど。
以前からあったことだとは思いますが、最近特に気がかりになっているそうです。
クラスづくりでのお悩みは、学級崩壊や、たとえそこまでいかなくても協調性や主体性がなかなか育たないという点も多々お聞きします。
これは、教育現場だけではなく、私自身、企業や自治体での人材育成研修を長年実施しておりますが、レジリエンスUPの研修のリクエストを頂戴することも増えています。
子どもはほめて育てよう!というブームは、いまだに続いていますが、安易におだてるようにほめてばかりいても逆に現実を受け入れる力が育たず、うまくいかなくなった時の凹みようは、見ているこちらがつらくなるほどです。
心の底からの称賛は相手に大きく届きますが、ほめて動かそうとする下心がある言葉はなかなか届きません。
心がくじけているときの子どもたちへのかかわりでのポイントは、事実承認が良いでしょう。
評価的なことばではなく、子どもが実際にできたこと、やっていることに目を向け、そのまま「これはしてくれてたね」などの言葉が効果的です。
多分、先生方は日常やっておられる言葉かけですが、「この問題も解けたんだね!」こういった言葉には、誉め言葉は入っていませんが、子どもは「先生はそこをちゃんと見てくれたんだ!」という気持ちが生まれるでしょう。
これが事実を承認(認める)事実承認です。
こういったスモールステップによって、子どもは自信をつけ、やる気を出し、自己効力感も育つでしょう。
教師として、子どもたちを叱らなければならない場面は多々あるかと思います。
力に任せて、大声で叱って一瞬は届いたように見えても、子どもたちはしたたかです。
なめられては統率が取れないし…。どうしたものかと悩む教師の皆さんも多いでしょう。
叱り方検定を実施している当協会でも参加される皆さんの中に教育関係者も多数参加されるので、現場の大変さも肌で感じます。
以下に子どもを叱るときの留意点を簡単に上げます。
1. 「叱る」と「怒る」を区別し、怒ってしまったとき(感情をぶつけた)は、誠実に謝る。
2. 思い込みをはずし、事実を見極める。(本人の知識がないのかもしれないし、こちらの思い込みかもしれない)
3. 同級生や友達と比較しない。
4. 人格否定はしない。(「そんなことも出来ないの!」「君はだめだ!」など)
5. 正論を振りかざさない。思いを受け取る。
6. 考える場を一緒に作る(対策を自ら考える力を育て、未来が楽しみになるようなかかわりを)
7. 失敗は成長するチャンスと心得る
叱る時が来たら、子どもの考える力を育てるチャンスです。
ぜひ、チャンスを活かしていただきたいと思います。
学級経営やクラスづくりは、まさに企業などでスキルアップが必要な「チームビルディング」です。
チームビルディングは、「チームのメンバーが一丸となって取り組んでゆけるためのシステム作りであり、メンバーがそれぞれの個性や能力を活かして、主体的にかかわり、目標を達成するために協働しながらチャレンジする組織作り」を意味します。
子どもたちが楽しく成長しあい協力し合えるクラス運営ができたら、チームビルディングは成功し、先生はチームリーダーという位置づけになります。
企業や組織でお話をするのですが、「役職は会社から任命されるものであるが、リーダー(役職とは別の)とは、部下それぞれがあなたをリーダーと思えるかで決まるもの」と。
こう考えると、学級経営は子どもたちから信頼される教師として認めてもらうことが重要となります。
女性教員の皆さんへの研修風景
とはいえ、教師の皆さんも人間です。感情の起伏もあれば、忙しさで心がぎすぎすイライラし、もう辞めたい!と投げ出したくなる日もあることでしょう。
自分には、クラスをまとめていく教師の素質はない…。そんな風に落ち込むことだってあるかもしれません。
ベテランの先生の中には、子どもたちを迫力でけん制し、恐怖政治でなめられてはいけないと統率を取る人もいると耳にします。
しかし、それでは、本当の意味の主体的で協働しあえる子どもたちが育つのか、私は疑問に思います。時には、真剣に向き合い、声を荒げることもあるかもしれませんが、常の意識として、子どもたちを育てるために、西洋医学の外科的手術ではなく、東洋医学の漢方の処方のように、少し手間はかかりますが、子どもたち一人ひとりと信頼でつながり、未来を拓く手伝う意識がこれからの先生には、きっと必要ではないかと思います。
大人の私たちも同じですが、この人の言うことなら多少痛くても心を開いて聞いてみよう。こんな関係作りは日常のちょっとした関わり、声かけ、耳を傾ける姿勢から構築されると思います。
小学校教諭Oさん
学校では様々な子どもがいて、様々なタイプの先生が様々な叱り方をしています。誰が何をどのように伝えるかで、児童はきいたりきかなかったりします。
正論を言うほど、聞かない子どももいます。怖ければきく子どももいます。
教員は怖ければいけないのか?感情で伝えないと伝わらないのか?
学校で対応が大変な学級に入って、様々な児童への対応の中で叱り方について考えてみると、自分なりの芯がもてず、迷うことが多かったのでセミナーに参加しました。
私にとってはこのセミナーは「叱る」ということを、実際に叱ったり叱られたりしながら、体感しながら身をもって叱り方を学べる貴重な機会でした。
私も叱る側と叱られる側を両方体感しました。
特に感情的、威圧的に叱ったり理詰めで叱られていると、耳と心を閉ざしてしまい、逆に開き直ったりしらけたり、言い訳したくなったりしてしまうのです。
反対に、叱り方一つを変えることで、前向きに「次からは気をつけよう」と思えてくるのです。そのコツやポイントを教わりました。
さらに、セミナーでは、日頃からの心が繋がる声かけ(種まき)がどれだけ大切か、雑念を抱かずに傾聴するとはどういうことか、相手のタイプや自分のタイプに応じた声かけや叱り方のコツは何かを体感しながら学ぶことができました。
セミナーを通して相手の心を開く鍵は相手がもっていること。それを忘れないようにしたいと思いました。その上で、相手が自分で心を開きたくなるようにどうもって行けばよいかを考えることが大切だと気づくことができた1日でした。
素晴らしいセミナーを開催していただきましてありがとうございました。
相手の自立を促す関わり方(自立型支援方法)を開発し、それを基本に、組織を構成するすべての人の「当事者意識」を引き出し、他責から自責へ。を目指しています。継続的なコンサルティングの実施や、行政、各種団体、企業などで人材育成者に対して研修実績多数。叱り方検定・叱り方研修なども開発した。研修時には、現場の事前課題を匿名で募り、すべての気がかりを扱っています。二男、一女の母。
【著書・執筆】
●「きほんからわかるビジネスコーチング」イーストプレス社
● ビジネス心理士検定試験公式テキスト」中央経済社 共著
● 月間「学校運営」
2014年12月号 未来を築く日本人の育成
2017年04月号 職場の人間関係作り
2017年06月号 学校職員のキャリアアップ
● 真・介護キャリア「部下への思いを上手に伝える成長する叱り方」日総研出版
● 相談援助&マネジメント
「ケースで学ぶ!相反する意見をまとめる調整、根回し、交渉の潤滑油的テクニック」日総研出版
● 「自立型支援方法~自立を促す14の習慣」プロコンビジネスノート